Top > RPM ドイツ ミーネンレーマー 重地雷処理車

毎月1点、ボックスアートを紹介・展示していくコーナーです。



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 絶え間なく鳴り響く雷鳴のような砲声、至るところに横たわる無数の残骸、空を覆う濛々とした黒煙…
 さながら地獄絵図と化した戦場を無数の異形な車両が前進してくる
 進撃を阻むはずの地雷をものともせず轟音を轟かせ、ゆっくり…ゆっくりとこちらへやってくる
 誰か…あれを止めてくれ…誰か…あれを…
 塹壕に身を隠す兵士は祈る事しかできない
 それもまた無駄な行為と知りながら


           ルイス・マイアー著「兵士が見た日常 ~クルスク攻防戦33日間の記録~」より



  • RPM : ドイツ ミーネンレーマー 重地雷処理車
    この異形の車両はドイツが開発した地雷除去車である。
    巨大な前輪にはシューと呼ばれる鋼鉄の下駄を履き、地雷を爆破させて無効化する高性能な車両だ。
    車体下面は爆風をそらすためV字型となっており、方向転換は後輪に接続された左右のチェーンで行う。
    武装は自衛のためのI号戦車のものと思われる機銃塔が取り付けられていた。
    試作車1両が完成したといわれているがあまり詳しい資料は残っておらず、実戦参加したかも不明である。

    さてその箱絵であるが、パッと見、あまり良い印象のものではない。
    色使いやデッサン、構図など独特のものがあり、我々日本人には無いセンスによるところが大きいだろう。
    しかし、それを意識した上で見てみると中々に面白いものが見えてくる。

    まずこの車両は1両しか製作されなかった試作兵器であるが
    それが戦場に立ち、敵戦車の残骸を文字通り尻目に見ながら、後方にももう一両描かれている。
    これは画面外ではさらに多くの地雷除去車が存在している可能性を示唆する。
    やや小高い丘から戦場を見渡すその姿は実に威風堂々とし、見る者にとっては筋肉質な雄々しいゴリラのように映るはずだ。
    この空気感…かつて少年たちの心を掴んで離さなかった小松崎茂画伯や高荷義之画伯のそれに近いものがあるのではないだろうか。
    「すごいぞ!これがみらいのせんしゃだ!かいこうせんでてきをやっつけろ!」
    起こり得たかもしれない近未来のSF兵器に心躍らせるのは子供だけの特権ではない。
    想像力の全てを駆使し、無敵と化した自身に酔いしれ、戦場の覇者となる…。
    心の琴線に触れうる魅力をこのボックスアートは内包している。


    キットはかつてRPMが発売していたものである。
    外国製のキットで入手は難しく、高価であった。
    車体長がやや短いようにも感じたが、全体の雰囲気は良く再現されていた。
    唯一の問題が片側10個あるシューで、左右分割された2個の部品を接着して繋ぎ目を消し、
    巨大な転輪にいざ取り付けようとすると、幅が足りなくてどう足掻いてもつけられないのだ。
    泣きながら合計20個のシューを分解してスペーサーを挟んで再接着再加工。
    東欧製だからね…仕方ないね…と仮組しなかった自分を責めつつ出来上がったその姿は
    まさに戦場の兵士が見たかもしれない重地雷除去車そのものであった。

    今ではMENGからも発売されており、RPM製のミーネンロイマーは完全にその役目を終えたといえる。

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